はじめに
Webサイトやアプリのデザインにおいて、「配色」は第一印象を決める大きな要素のひとつです。
ユーザーが「信頼できそう」「なんか使いにくそう」と感じるのは、実は色の影響が大きいことをご存じですか?
本記事では、AIを活用してUX設計に合った戦略的なカラーパレット設計を行う方法を紹介します。
Figmaでの設計テクニックもあわせて、プロ目線の配色術をわかりやすく解説していきます!
カラーパレット設計とは?
「カラーパレット設計」とは、Webやアプリで使う色をルール化し、目的に沿って最適な組み合わせを構成する作業のことです。
では、なぜこれがUX(ユーザー体験)と深く関わるのでしょうか?
色には「感情を動かす力」があります。
たとえば、青は「信頼感」、赤は「注意・行動促進」など、色彩心理がユーザーの判断や行動に影響します。
そのため、カラーパレットは「ただ美しく」ではなく、ユーザーの目的やシナリオに応じて設計する必要があるのです。
さらに、ブランドイメージ・アクセシビリティ・可読性なども考慮しなければなりません。
つまり、カラーパレットは「感覚」ではなく「戦略」で決めるべきものなのです。
⚫︎ カラーパレット
| 項目 | 目的 | 推奨数 |
|---|---|---|
| Primary ブランドカラー | ・サイトやブランドの“顔”になる色。 ・ロゴ・CTAボタン・リンク・アイコンなどの目立つ要素に使用。 | 1(多くても2) |
| Accent サブカラー | ・ブランドカラーを引き立てたり補完する色。 ・補助ボタン、バッジ、アイコンなどに使い分け。 ・ブランドカラーと調和しつつコントラストがある色を選ぶと◎。 | 1〜2 |
| Background ベースカラー | ・背景やコンテンツエリア、セクションごとの切り分けに使う。 ・白・グレー・淡いトーンなどが一般的。目に優しい色がベター。 ・読ませたい情報に集中させるため、主張しすぎないことが大事。 | 2〜3 |
| Font テキストカラー | ・メインテキストは通常ダークグレーかブラック。 ・サブテキストは薄めのグレー。 ・アクセントテキストやリンクは、ブランド・サブカラーを使用。 | 2〜3 |
| Status color フィードバックカラー | ・ユーザー操作に対する反応の色。 エラー:赤/成功:緑/警告:黄/情報:青 ・色覚バリアフリー対応を意識して、アイコンやテキスト併用推奨。 | 3〜4 |
UX視点のカラー設計のポイント
「UX(ユーザー体験)から逆算してカラーを設計する」というのは、見た目以上に“使いやすさ・感じやすさ”をデザインすることです。美しさだけではなく、「伝わる」「分かる」「動きたくなる」カラー選びがUX視点では超大事!
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 🧠 意味 | 色は役割・感情を伝える“記号”になっているか? |
| 👣 動線誘導 | 重要アクションに目が行くよう設計されているか? |
| ♿ 誰でも使える(アクセシビリティ) | 色覚・コントラスト・形の併用がされているか? コントラスト比をWCAG基準に沿って設計(文字:4.5:1以上)されているか? |
| 📈 効果検証 | 実際のユーザーで反応をテストしているか? |
AIが提案する配色:UXシナリオ別カラーパレット設計術
色の選定は「センス」ではなく「文脈」で行う時代。
特にUX設計においては、ユーザーの感情・目的・行動フローに合わせた配色が不可欠です。
ここで活躍するのが、AIによる配色提案です。UX設計で作成した目的やペルソナを含めたプロンプトを入力することで、AIがUI上でどこにどう使うかが明確に定義された構造化されたカラーパレットを生成してくれます。
UX設計はAI活用で最速設計!↓
【AI活用】AIで構造化カラーパレットを作成
AIのプロンプトに必要な情報は以下になります。
サイト情報やペルソナは、未公開の機密に当たるような情報は避けて、大まかでOKです。
プロンプトに必要な情報
・パターン数(希望の数)
・サイトのジャンル(IT、飲食、医療系など)
・想定ユーザー(20代女性など)
・希望する印象(可愛い、クール、洗練されたなど)
● AI活用プロンプト例
あなたはプロのWebデザイナーです。
Webサイトに最適なカラーパレット(5~6色)を1パターン構成してください。
各色には以下の情報を含めてください:
・HEXコード
・役割(Primary, Accent, Background, Textなど)
・用途の簡潔な説明
Neutralカラーは背景用とテキスト用を明確に分けてください。
全体として読みやすさと視認性(UX)に配慮した構成にしてください。
サイト情報:
– 美容系ECサイト
ユーザー層:
– 20代都会的で感度の高い女性
希望する印象:
– 安心感と高級感
– 「柔らかさ」と「洗練」を兼ね備えた配色
<サンプル>美容系ECサイト向けカラーパレット提案

以下は20代都会的で感度の高い女性向け、美容系ECサイトにぴったりのカラーパレット構成です。安心感と高級感、「柔らかさ」と「洗練」も忘れず盛り込みました。
Elegant & Soft Luxe な構造化カラーパレット

色見本は、カラーパレット情報が出力された後、「6色の色見本を画像生成」してもらいました。
| 色の役割 | HEXコード | 用途の説明 |
|---|---|---|
| 🎨 Primary | #C8A2C8 | ラベンダーグレー:ブランドカラー。高級感とやわらかさを演出。CTAボタン、リンク、ブランドロゴなどに使用。 |
| 🌸 Accent | #F2D5DA | ミルキーピンク:感性に訴えるポイントカラー。ホバー時の変化、ラベルやタグに使用。 |
| 🌿 Secondary | #A8BCA1 | ダスティセージ:やさしさと信頼感。アイコンやナビゲーションなどに控えめに配置。 |
| 🧼 Neutral (Background) | #FFF9F6 | ウォームホワイト:目に優しいトーン。全体の背景色として使用。清潔感と柔らかさを確保。 |
| 🖋️ Neutral (Text) | #3C3C3C | チャコールグレー:高コントラストで読みやすい本文用カラー。白背景との相性良し。 |
| ✨ Highlight | #FFE8B6 | ペールゴールド:高級感の演出に使用。バッジやキャンペーンバナーに少量使用で効果◎。 |
また、この配色でのサイトイメージを画像生成してみたり。
(AIによってはうまくいかないこともあります)


さらに加えて効果的なプロンプト指定
目的別プロンプト
| 目的 | 追加すべき一言 |
|---|---|
| Figmaで再利用したい | 「Figmaで使いやすい命名ルールを想定してください」 |
| ブランド性も加味したい | 「ブランドイメージも踏まえたトーン設計にしてください」 |
| Dark Modeも作る | 「必要であればDark Modeにも展開しやすい配色にしてください」 |
グレードを上げるプロンプト
| 入れるだけで差が出る一言 | 効果 |
|---|---|
| あなたはWebデザインの専門家です | 色の選定・バランスがプロ視点になる |
| UXと可読性を考慮してください | 実用性が上がる |
| Neutralを構造的に分けてください | 背景・文字の視認性が整理される |
【AI活用】確定した配色にFigma用命名を指示
構造で命名しておくと、デザイナー・エンジニア間の連携が神速になります。
● AI活用プロンプト例
Elegant & Soft Luxe な構造化カラーパレットの6色を、Figmaで再利用しやすいStyle名で構造化してください。
命名ルールは「Color/{役割}」形式でお願いします(例:Color/Primary)。
必要に応じて「Text/」「Background/」など機能別命名も含めてください。
Figma用カラースタイル命名一覧
| Style名 | HEXコード | 用途の説明 |
|---|---|---|
Color/Primary | #C8A2C8 | ブランドカラー。ボタン、リンク、重要要素に使用。 |
Color/Accent | #F2D5DA | アクセントカラー。ホバーや通知など印象づけに使用。 |
Color/Secondary | #A8BCA1 | サブカラー。図形や背景装飾にやさしく使用。 |
Color/Highlight | #FFFE8B6 | 強調カラー。バッジや限定感のある要素に。 |
Color/Background/Base | #FFF9F6 | ページ背景用のニュートラルカラー。清潔感のある印象。 |
Color/Text/Primary | #3C3C3C | メインテキスト用カラー。高い可読性を確保。 |
まとめ:AIを“色の相棒”として使いこなす
色の設計にAIを使うことで、これまで時間がかかっていた「配色の壁打ち」や「初動の方向性決め」が驚くほどスムーズになります。
しかも、しっかりとユーザー体験に寄り添った設計が可能に。
もちろんAIは非常に便利ですが、「最終判断」はあくまで人間。
UXシナリオやブランド戦略を理解した上で、AIが提案するカラーパレットを“なぜそうなったか”と分析し、自分の目で調整することが重要です。

次はこの配色案をFigmaでどう扱うか──
実務に落とし込む具体的な設計方法をテーマにご紹介します
カラーパレット設計が活きる!おすすめ職種とキャリアのヒント
「色を考えるのが好き」「色で人を動かす設計に興味がある」という方は、その感覚をキャリアにつなげるチャンスがあります。以下の職種は、色彩設計のスキルが存分に活かせるフィールドです。
- UI/UXデザイナー
ユーザーの行動・感情を意識した配色設計が武器に。特にSaaS・ECなど“成果が見える”分野で強みになる。 - サービスデザイナー
色だけでなく、体験全体を設計する役割。ペルソナに基づいた色彩戦略は重要なスキルのひとつ。 - プロダクトデザイナー(アプリ・Web)
一貫したブランドカラー、アクセシビリティ配慮、レスポンシブな配色設計など、Figma活用が重要。 - コンテンツクリエイター・ディレクター
色で感情を動かすスキルは、動画・広告・バナー制作など、あらゆるメディア表現で活かされる。 - カラーデザイナー/ビジュアルデザイナー
専門職として「色」に特化したポジションも。プロダクトや空間などWeb外の領域でも応用可能。

配色センスは、「UIデザイン×AI×Figma」というスキルセットと組み合わせることで、希少価値の高い人材になれます。興味がある方は、小さな配色プロジェクトからはじめてみましょう!
